薬についての考え方

目次

整形外科で出す薬:整形外科ではどういう薬を出すか。

副作用について :副作用についての考え方

薬の飲む期間   :いつまで薬を飲めばよいか

薬の休薬       :薬を飲むのを止めたいが

薬の出せる期間 :薬は最大何週出せるか

湿布の枚数     :湿布は最大いくつまで出せるか

冷たい湿布と温かい湿布はどうつかうか

筋肉注射について:痛み止めの筋肉注射について

血管注射    :血管注射の注射間隔について

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整形外科で出す薬

整形外科で出す薬は、大きく分けて下記の4種類です。

1)消炎鎮痛剤:痛みと炎症を抑える薬  20種類以上あります
2)筋弛緩剤  :筋肉の凝りをとる薬      数種類あります
3)消炎酵素剤:腫れを引かせる薬        数種類あります
4)胃腸薬(抗潰瘍剤):胃腸障害を抑える薬。20種以上あります

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副作用について

薬には、当然それぞれ利点と欠点があります
欠点としては
1)消炎鎮痛剤:胃腸障害や、はれ、発疹がくることがある。
2)筋弛緩剤  :利きすぎると、だるくなることがある
3)消炎酵素剤:あまり副作用なし
4)胃腸薬(抗潰瘍剤):あまり副作用なし
ただし、副作用の頻度は、いずれも1ー2%以下です。整形外科で出す薬は、胃腸障害が多いのです。犯人は消炎鎮痛剤です。当クリニックでは、あらかじめ、必ず胃腸薬を一緒に出しています。それでも胃が痛いとか、胃腸障害がでるようなら薬はのまないで下さい。できれば胃腸薬だけのんでください。当院で出す代表的な薬は、院内に掲示してあります。何らかの異常があれば、必ず医師に伝えてください。遠慮する必要はありません

○副作用に対する考え方

1)何らかの副作用が出たら、すぐ服用中止する。
 また副作用が出たら、すぐ服用は中止してください。効果があると思って、胃が痛いのに無理して薬をのむのはいけません。
2)「副作用が恐いから、すべて薬はのまない」というのは、正しくない。
 たしかに薬にあうかたも、あわないかたもあります。多くは体質です。しかし日本で販売されている薬は、いずれも厳重に、厚生省で評価されてから出されている薬です。従って、副作用はゼロではありませんが、かぎりなくゼロに近い数字まで、おとしています。どんな薬でもすでに、最低1ー2万例までは使用しています。のんでもいないのに、副作用を恐れてのまないで、痛みを我慢するのは、あまりかしこい使い方とはいえません。以前に副作用があるかたでも、薬によっては、あう薬もあるかもしれません。一口に消炎鎮痛剤といっても数多くの種類があります。それぞれ、効果の強弱も副作用も違います。内服だけでなく、坐薬もあります。外用剤もあります。すこし、トライしてみてください。たとえ副作用が出ても、すぐ服用中止すれば、そうおおごとになることはありません。医師になんでも遠慮せずに、相談することです。

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薬をのむ期間

Q「薬はいつまでのめばよいか」
A「痛み止めは、症状があるときはのんでください。自分で調整しても構いません」

痛み止め(消炎鎮痛剤)は、痛みやはれがなくなれば、のまなくても構いません。または、1日3回食後服用となっていても、痛いときだけ、あるいは、これから仕事やスポーツをするときに、あらかじめ、のんでおいてもよいと思います。経過が長くなってくれば、どういう時に痛くなるかわかるはずです。痛み止めというのは、痛くなってからのむよりも、予防的にのむ方が効果があります。なおこれは痛み止めに限ります。他の疾患でのむ薬はこういう原則は通りません。たとえば痛風や、骨粗鬆症の薬。高血圧や、心臓の薬はこれでは不可です。こういう薬は、きちんとのまないといけません。きちんとのんで、具合が悪くなったら、主治医に相談して、薬をかえてもらってください。自分で勝手に止めて、他の病院へいくのは、賢くありません。何でも気軽に相談してください。
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薬の休薬

Q「薬を大分飲んでいるので、すこし休みたいのですが」
A「疾患によって違います」

 副作用が出れば、どの薬でもすぐ中止します。また痛み止めは痛みがなければ休んでも構いません。骨粗鬆症やリウマチや痛風の薬などは、勝手にやめるのはおすすめしません。医師にご相談下さい。
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薬の出す期間

Q「長期の旅行にいくので、薬を長期に出して欲しいのですが」
 A「病名によって出せる量が決まっています」

解説:薬の出せる期間は、残念ながら厚生省の通達により、決まっています。医師の勝手にはならないのです。多くの薬は、最大限2週間までです。例外的に、特殊な疾患の場合、30日処方が許可されています。具体的には、整形外科関係で、30日処方が許されているのは変形性関節症、強直性脊椎炎、変形性脊椎症、慢性関節リウマチ、骨粗鬆症、痛風程度です。また船員の方は3ヶ月可能です。医師に御遠慮なく御相談下さい。2週間あるいは、1カ月以上、薬が欲しい方は、家族の方に、定期的に、とりにこさせてください。なるべくなら、御本人も1回/3カ月程度は、受診してください。診察しないで漫然と薬だけ取りにくるのはお勧めしませんが、考慮はします。

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湿布の枚数

Q「どこもかしこも痛いので、湿布が足りません。もっと下さい」
A「残念ながら、それほど多くは出せません」
 湿布の1回に出せる量は、厚生省の通達で、決められています。通常は1日1回で4パックまでです。どうしても足りなければ、塗り薬を差し上げます。併用してください。
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温湿布と冷湿布の使い分け

Q「冷やせばよいのか、温めればよいのか」
「風呂に入ってよいでしょうか」
A「冷やすのが気持ち良いときは、冷やせば良いし、温めるのが、気持ち良ければ、あたためればよいのです。自分の体に聞きなさい。」

 原則としては急性期治療の原則は安静+冷やす+高挙(患部を高くする)。風呂は原則としては不可。慢性期の原則は、筋力増強運動+あたためる。ただし使い分けは、あまり神経質に考える必要はありません。どんな病気でも、急性期と慢性期という、病気の時期があります。すべての病気は、急性期から、慢性期に移行して、なおっていくわけです。

○冷湿布と温湿布について

急性期には冷たい方が気持ち良いし、慢性期には温かい方が気持ち良いはずです。しかしこれはあくまで原則です。そう神経質に考えるものではありません。 基本は自分の体に聞けということです。自分の体にあわないことは、する必要がありません。医者がいったからといって、無理して行なう必要はありません。以前にやった実験では、冷湿布は最初の2ー3時間は皮膚温が2ー3度下がりますが、その後5ー6時間は、逆に2ー3度、皮膚温が上昇します。冷湿布と温湿布は、それほど厳密につかいわける必要はありません。現在の湿布は冷やすとか暖めるというより、その中に含まれる薬の成分によって、炎症を押さえるのが目的です。したがって冷やす作用などは二次的な作用なのです。なお冷湿布も、温湿布も、皮膚刺激性が強いのが多いようです(温湿布がより強い)。皮膚が赤くなったり、ひどいときは、みずぶくれ(水泡)になったりします。そのときはすぐ使用を中止して、医者に申し出てください。そのあとも効果があるからといって、無理に使用を続けてはいけません。塗る薬とか、ローションとか、別によい薬も一杯あります。          

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筋肉注射について

Q「痛いところに注射をして欲しいのですが」
A「筋肉注射は特殊な場合を除いてあまりしません」
 痛いところへの筋肉注射は、すぐきくし、1週間ぐらい楽なので、皆さん好まれるようです。しかし、よく考えると、筋肉の中に、注射液が入るわけです。筋肉が損傷を受けます。1ー2回ならよいですが、同じ場所に何回も行なえば、筋肉が損傷を受け、線維化されて、堅くなってきます。こうなれば、この堅くなったところが、原因で痛みが来ます。関節の動きも悪くなり、ますます、痛みが長引くことになります。従って、痛いところへの、筋肉注射は極力避けています。痛みをとるには、その他の治療で十分出来ます。疾患によっては行いますが極力避けています

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血管注射について

Q「血管注射を週に1ー2回やりなさいとか回数を指定されましたが、どういう間隔でくればよいでしょう。」
A「用事があるときは、1ー2日ずれても構いません」
きちんと、間隔を開けてこれればよいでしょうが、用事があればそういうわけにもいきません。その場合は1ー2日早めるか、遅らせるかしてください。そう厳密なものではありません。

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