原因
中年以降の男女。特に男性に多いが、加齢変化で変形性脊椎症となり、腰椎の骨棘
その他靱帯の骨化などにより脊柱管が狭くなり、腰の神経根を圧迫して、下肢の痛みや
痺れが出現したもの。閉経以後の女性なら、骨粗鬆症の合併が多い
なお若年者は下肢痛があれば腰椎椎間板ヘルニアとなる。
レントゲン所見
椎体の変形、骨棘形成、椎間板の変性により、いわゆる変形性脊椎症となり、レン
トゲンでは脊柱管(脊髄が入っている)の狭小化が認められる。
症状
少し無理をするとすぐ腰痛が起こる。特に動き始めに多い。また下肢の痛みや痺れがある。
下肢痛は坐骨神経の走行に一致する。長時間歩行すると下肢痛が増強し、休む必要がある。
検査について
整形外科疾患では慢性疾患が多いため、レントゲン上で異常がある方が多いのですが、良く聞かれることは
○単純レントゲン写真
質問:腰のレントゲンで変形があるといわれ、整形外科の先生に変形は一生直らないといわれました。どうすればよいのでしょう。一生腰痛が続くのでしょうか?
これは、腰に限らず、変形性膝関節症やその他の疾患でよくおこる誤解です。たとえば、中年以上の方が、腰痛で受診されてレントゲン等を取れば、下肢のしびれなどがなければ、多くは「変形性脊椎症」という病名がつきます。同世代の方の腰のレントゲン写真をとれば、症状の有無に関係なく、大体同じような骨変化を示します。では同じような腰椎の変形のある方が、すべて腰が痛くなるのかといえば、そういうことはありません。確かに変形があれば正常の方よりは腰痛がきやすいとはいえますが、痛みは使いすぎや筋力不足などの日常生活のなかでの問題で起こることが多いわけです。従って、安静や薬物治療、その他腹筋を鍛えるなどの、いろんな努力をすることで、症状のない快適な生活をおくることができます。レントゲンで変形があるから、かならず症状が出るとはかぎらないわけです。
なお腰痛に比較して下肢痛はかなり治りづらいので、根気良く通院してください。
○MRI検査
質問:腰のMRIという検査をしたら椎間板がでているといわれました。手術しなければいけないのでしょうか。
回答:腰のMRI写真で椎間板が突出しているだけでは、特に問題はありません。これは症状のない方でもMRI等を検査すればよくある現象です。脊椎というのは単なる入れ物であり、大切なのはそのなかの神経なのです。神経が椎間板で圧迫されれば、下肢痛や痺れなどのいろんな症状が出ます。下肢痛が、薬物治療その他のいろんな治療で直らなければ、そこではじめて突出した椎間板の切除などの手術も考慮されます。下肢痛などの症状がなく、椎間板の突出のMRI所見だけでは、あまり病的意義はありません。
治療
腰に負担のかからない姿勢を覚えること
やせること(これは非常に重要です)
通院に便利な近くの整形外科に直るまで継続的に受診すること
腰痛が軽快してきたら、脊椎がガタが来たのをカバーする意味で
腹筋を鍛えることが大切です。
その他薬物治療や牽引、温熱療法も効果的
また腰バンドも有効である。
これは非常に効果があります。
手術について。
手術は十分な上記のような保存的治療を行い、それでも駄目ならはじめて
考慮される。いきなり行うことはない。まずは安静が大切。
なお例外として尿が出なくなったり下肢の麻痺がくれば緊急手術となります。