骨折がなくて、不安定性がない。骨に異状がなければこの病名になります めまいや吐き気、目がおかしい、腕がだるいなど自律神経症状をともなう ことが多いようです。 病名は頚椎捻挫とか外傷性頚部症候群とか、むちうち損傷とかつけられます。 交通事故にあったらどうするの:健康保険を使うときに注意です。事故など第3者行為は自賠責優先です。
整形外科の検査について
頚椎捻挫とは特にレントゲン変化はないものを言います。骨折やその他があればそれは椎体骨折などの病名となります
○単純レントゲン写真
質問:頚のレントゲンで正常であるといわれ、整形外科の先生に問題ないといわれました。しかし私はつらいのです。一生頚部痛が続くのでしょうか?
骨レントゲンで正常であるから異常がないということにもなりません。痛みがあるから問題があるわけです。大切なことは形態学的変化と症状は必ずしも一致しないということです。直るまできちんと継続的に整形外科を受診なさり、きちんと原則どおり治療を行ってください。
また中年以上の方なら、頚部痛で受診されてレントゲン等を取れば、症状の有無に関係なく、大体同じような加齢による骨変化を示します。それまで異常がなく、たとえば事故によりはじめて、痛みが出たなら、それは事故によって起こったものと考えてよいでしょう。
なお以前からある頚部痛が事故により、増強したなら、それは事故のためだけとは言い切れません。
一般的に、同じような頚椎の変形のある方が、すべて頚が痛くなるのかといえば、そういうことはありません。確かに変形があれば正常の方よりは頚部痛がきやすいとはいえますが、痛みは不良姿勢や、使いすぎや筋力不足などの日常生活のなかでの問題で起こることが多いわけです。従って、安静や薬物治療、その他頚部の筋肉を鍛えるなどの、いろんな努力をすることで、症状のない快適な生活をおくることができます。レントゲンで変形があるから、かならず症状が出るとはかぎらないわけです。
○MRI検査
質問:頚のMRIという検査をしたら椎間板がでているといわれました。これは事故のせいで手術しなければいけないのでしょうか。
回答:頚のMRI写真で椎間板が突出している、あるいは黒いだけでは、特に問題はありません。これは症状のない方でもMRI等を検査すればよくある現象です。脊椎というのは単なる入れ物であり、大切なのはそのなかの神経なのです。神経が椎間板で圧迫されれば、上肢痛や痺れなどのいろんな症状が出ます。上肢痛が、薬物治療その他のいろんな治療で直らなければ、そこではじめて突出した椎間板の切除などの手術も考慮されます。椎間板の突出や変性などのMRI所見だけでは、あまり病的意義はありません。形態学的変化だけで手術することはほとんどありえません
また事故のせいかどうかは事故前の写真と比較しないとなんともいえません。
治療 一般的には下記のように行います。 生活上の注意 急性期:安静、頚に負担のかからない方法を覚える 慢性期:頚の筋力を鍛える。これが最も大切です。 薬物治療: 痛み止め、筋弛緩剤、胃腸薬、自律神経調整剤、気持ちを 落ち着かせる薬などをのみます 症状がある間はきちんと飲んでください。 副作用は胃腸障害や眠気程度です。 理学療法: 急性期をすぎてから行います 消炎鎮痛として、低周波やマイクロウエーブなど 頚椎牽引も行います。 頚部の筋肉を鍛える 装具療法: 症状が激しくて、頚が痛い、重いなどの時は頚椎カラー を3−4週つけます。 あまり長期間つけると、頚の筋力が落ちます。 頚が痛い、だるい、重苦しいなどの症状がなかなか取れなくて、長期化 することがあります。これは自律神経がやられるのと、筋力低下が原因 です。受傷後2−3週すぎて、痛みが楽になれば、頚椎の筋力を積極的 に鍛えてください。そうでないと頚が10−20kgもある重い頭を支 えきれません。当然痛みが来ます。 大切なことは、痛みの激しい急性期は安静にすることですが、しばらく、 すれば今度は筋力低下が原因で、痛みが来るわけです。痛いから運動しない 運動しないから、筋力が落ちる。筋力が落ちるからますます痛くなる。 悪循環です。 筋力が鍛えられないとなおりません。めりはりをつけて運動なさることです。 痛いときは安静。少しでも楽になったら、あたためながら、頚の筋力を 鍛えてください。