Q11.激しい練習を続けると、背がのびなくなると云われたが、実際はどうか?

Q12.中学生に筋力トレーニングは必要かどうか疑問である。柔軟性、技術に力を

入れるべきではないかと考えているが。 (バスケット)

Q13.成長期にウェ−トトレーニングをしすぎると、筋肉ができ上がってしまい、

身長が伸びなくなると聞いたことがありますが、本当でしょうか。

(バスケット)

Q14.中学生にとっての筋力トレーニングの是非、練習量と休憩の関係。

A:成長期の筋肉トレーニングについて

筋肉トレーニングは筋出力の向上により運動そのものが力強く行われるようになり

、結果的にスポーツ能力も向上することを目的として行われている。一般的に筋力増

強訓練の注意点としては、許可された範囲で安全に行う、痛みや過度の緊張を起こさ

ないようにする、翌日に疲れ・緊張・痛みを残さないようにする、ストレッチングを

十分に行い腱や筋の柔軟性を高め障害を防止する等があげられる。

また最初は少ない負荷で行い、少しずつ負荷をあげていかなければならない。強化

する筋を意識し、その筋の拮抗筋の強化も行わなくてはならない。

以上のような一般的な注意事項に加えて、成長期の子どもは心身ともに発育の途上

にある未成熟な状態であることを忘れてはならない。同一年齢集団においても成長発

達の個人差が大きい。そのため成長・発達の個人差を考慮し、さらに技術・体力レベ

ルに応じてトレーニングのプログラム内容を変更する柔軟性が要求される。

次に骨・関節・靭帯・腱について子どもで注意する点を述べる。

発達段階にある子どもの骨は軟骨部分が多く、未完成の骨と考えて良い。そして成

長の途中の軟骨部分は力学的なストレスに弱い。骨折を起こすような強い外力でなく

ともくり返し衝撃がその部分に加わると、正常な成長過程が障害されて疼痛を生じた

り、将来変形を引き起こす可能性がある。次のような点に注意してもらいたい。

・足をまっすぐにしたまま飛び降りたり、飛び跳ねたりしない。

・肩と肘の関節に極端なストレスが加わるような投球動作を繰り返さない。(無理

に投げさせたり、不適当に重いものを投げさせたりしない。)

・体重を支える運動で長時間にわたる運動。

・非常に大きな抵抗でのウエイトトレーニング

又間違った筋力トレーニングの考えとして「一生懸命やれば必ず報われる。」とい

うことがある。指導者(大人)と異なり子どもの能力は基本的に成長発達の段階に左

右されるものであり、大人では有効なトレーニングのプログラムを用いても子どもで

は同様な効果が得られないと考えるべきである。筋肉トレーニングが全く無意味とは

思わないが、大人と同様というわけではない。

関節については子どもの関節は柔軟性が大きく、外力によって関節が障害を受ける

場合も捻挫は比較的少なく、あっても軽度である。しかし子どもの靭帯は骨よりも丈

夫であるため、靭帯の損傷の前に骨端線(骨の成長する部分)の損傷や骨折を起こす

ことが多い。筋肉・腱の柔軟性も大人よりも高い。しかし骨に比較して発達が遅いた

め相対的に筋肉・腱は短縮し緊張を受けやすい状態にある。さらに骨・関節の発育と

比較して十分筋力は増加していない。そのため筋や腱の障害よりも骨への付着部の障

害が多い。

また早朝から専門的な練習をさせ、人よりも少しでもはやく、しかもその時点で精

一杯までやらせることが子どものためと考える指導者も多いが、子どもの発達に応じ

て幅広い基礎的な体力をつけなくてはならない。“鍛える”ための長時間の練習は身

体の同一部位へのくり返しのストレスとなり、心身共に障害を引き起こしかねない。

心身共に限界を見極めなくてはならない。

 

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