スポーツ医学に関する質問

▼Q26.山岳競技に必要な体力トレーニング。トレーニング

強度と時期、トレーニングメニューの組み方。 (登山)

A:高校の山岳競技は登山の単なるタイムレースではなく、登山実技の他に知的ポイ

ント(天気図の作り方、読み方、計画の作成、記録、装備など・・・)が半分以上を

占める特殊な競技のようである。登山実技については、負荷と時間が課せられ、体力

、持久力、筋力が大きな要素となる。この持久力に直接影響するのは最大酸素摂取量

(VO 2Max)であり、いかにこの能力を高めるかがトレーニングであり、有酸

素性運動を主体として行う。運動強度が強くなると酸素の供給が追いつかず、運動を

続けられない。

この酸素摂取量の上限が VO 2Maxである。これを 100%として、60%

VO 2Max、70% VO 2Maxというように相対的に運動強度を表す。

有酸素性運動の負荷、強度については

イ・ボルグ・スケール(自覚的運動強度)

ロ・カルボーネン法による心拍数の基準がある。

ボルグ・スケール

7 非常に楽である

9 かなり楽である

10

11 楽である

12

13 ややきつい

14

15 きつい

16

17 かなりきつい

18

19 非常にきつい

20

カルボーネン法

〔(220−年令)−安静時心拍数)〕×運動強度+安静時心拍数

 

 

カルボーネン法の70%HR reserve

安静時心拍数60の場合

(220−年令)×0.8

簡 便 法

20代

30

40

50

152−158

145−151

138−144

131−137

153−160

145−152

137−144

129−136

例えば、18才で安静時心拍数60/分の場合における70%HR reserveの心拍数は 〔(

220−18)−60〕×0.7(70%)+60=159.4

簡便法を使えば

(220−18)×0.8=161.6

心拍数 160位を基準とするが目標は各自で異なる訳で、自覚的にはきついと感じら

れ息切れする程度であって、最低15分から60分間運動を持続する。運動強度を心拍数

で指示しにくい場合は、該当する心拍数の時のボルグの自覚的運動強度で代用すれば

、より簡単である。

運動の種類については、エルゴメータ、エアロバイク、クライミング、その他のマ

シーンを用いたり、階段の上り下り、水中歩行、ジョギングなど継続的に実施する。

少なくても週2〜3回は必要である。

登山競技の筋力トレーニングについては下肢筋のみでなく、背筋力、腹筋力なども

大切であり、全般的筋力増強が望ましい。運動の密度と負荷はゆっくりと上がるべき

で、決していそいではならない。殊にまだ成長過程にある高校生にとってはオーバー

ワークとならないよう、休息と回復を考慮して決して無理をさせてはならない。また

発汗による脱水症、急速な血糖値の低下、日射病の予防も念頭におくべきである。

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