▼Q35.ヘディングによる頸椎の弯曲をTV番組でみたこ
とがあるが、小学生の練習で注意すべきこと。(サッカー)
A:頸椎は4〜5・の頭部をささえ、更に上肢を釣り下げているので常にストレスが
かかるところです。筋肉も小さく疲れ易いし、運動範囲が大きいだけに支持性が悪い
所です。サッカーによる頸部の損傷は急性外傷と慢性障害に分けて考える必要があり
ます。外傷としては、選手同志の衝突による転倒、又は後方からチャージングされて
頭部を打った時には、頸椎の脱臼骨折、脊髄の障害による四肢麻痺等が起こります。
ヘディングによるものは、雨の日に水を含んだボールをヘディングした時、飛んでき
たボールを頭で受けて方向転換させるトラッピングで頸部に負担が掛かった時等に起
こると報告されていますが、重大な外傷は起こりません。障害としては、ヘディング
による慢性ストレスで成長期の頸椎に異常を起こす可能性がありますが、非常に頻度
が少ないと考えられます。
外傷、障害の予防には、スポーツ開始時の頸部のストレッチング、終了時にはクー
ルダウンとしての運動を行うように指導してください。更に頸椎にかかるストレスを
軽減させる目的で、僧帽筋、三角筋、胸鎖乳突筋等の筋力強化をはかる必要がありま
す。ヘディングの正しい仕方を指導することは勿論ですが、頸部に痛み、運動制限等
を訴える時には症状の出る運動をひかえて症状の出ない運動を行うように指導してく
ださい。もし症状が2日以上続くならば、強いマッサージ、矯正(整体)等は行わず
、どの様な原因で症状が出現しているのか正確な診断を行う為にも、専門医(整形外
科)に受診し正しい診断と治療を受ける必要があります。更にサッカーにかぎらず、
どのようなスポーツでも成長期の子供を指導する時には子供の訴えに耳をかしてほし
い。大人を小さくした身体と考えて指導していると慢性のスポーツ障害を起こし、そ
の子の将来を駄目にする危険もあります。