スポーツ医学に関する質問

▼Q37.オスグッド・シュラッテル病になった時、やはり運動させ

ないほうがいいのか 。完全に治るまで待たなければいけないか

(公式試合が近いと、どうしても選手として活躍させたい気持ちが

ある)。オスグッド・シュラッテル病になった子どもに対してのフォ

ローはどうすればよいか。

Q38.生徒達は今丁度成長期なので、膝が痛いとよく云います。

痛めずに運動するためにはどうすれば良いか。(サッカー)

Q39.成長期ということで、膝の痛みを訴える生徒が多いが、予防

と治療的トレー ニング法を教えてほしい。 (卓球)

A:スポーツで「跳んだり、走ったり、着地したり」するときは、膝の縦の線、大腿

四頭筋−膝蓋骨−膝蓋腱−脛骨結節のラインでショックを吸収している。ところが、

骨の成長が著しい成長期では腱(靭帯)の成長と骨の成長がアンバランスになってし

まう。そのためオスグット・シュラッテル病などに代表される膝の伸展機構の障害が

生ずる。小中の成長期に起こる例が多い。以下、オスグット・シュラッテル病につい

て説明し、予防、治療的トレーニングを述べます。オスグット・シュラッテル病は「

病」という字が付いていますがいわゆる「病気」ではありません。大腿四頭筋(もも

の前の)筋肉がお皿(膝蓋骨)を介し、膝蓋腱が下腿の骨にくっつくところの痛み

です。走ったり、ジャンプしたり、ボールを蹴ったりすると 400〜 600・の引っ張り

力がかかるといわれています。こんなに大きな力がかかる場所なのに、この骨は10〜

15、16歳頃まで軟骨が多くて未熟で弱いのです。この未熟で弱いところに強力な力が

加わるので、軟骨や腱が炎症を起こして痛みを生じます。最初は痛みだけなのですが

、そのうちに走ったり、ジャンプしたり、ボールを蹴ったりするだけでなく、床に当

たったりしただけでも痛くなったりします。

もう1つの原因としては、10〜15、16歳の成長のスピードが非常に早い時期では骨

の成長に筋肉の成長が追いつけなくなって骨の成長に対して筋肉の長さが短くなって

余計にストレスが強くなり、炎症を起こすためともいわれています。

以下それぞれに応じた対処療法を述べます。予防にも通じます。

軽症の場合(朝起きたとき痛いがすぐ治る、スポーツを終わったとき痛い、日常生

活では痛みがない)。スポーツを始める前に十分ウォームアップをした後、さらに太

ももの前の筋肉を十分にストレッチしてください。ストレッチングによって大腿四頭

筋の柔軟性が増して、骨にかかる引っ張りの力がやわらげられます。そして、スポー

ツの直後には整理体操を十分に行った後、始める前と同じようにストレッチングを行

います。とくにスポーツの後のストレッチングは筋肉の疲労回復に効果的で、また筋

肉の柔軟性を保つためにも必要です。また運動直後に痛む場所を氷と水でアイシング

する事も効果的です。以上は予防にもつながりますのでよく理解してください。

中等症(スポーツ中痛いが支障はない、終わった後痛みが強くなる、日常生活でも

痛いが支障はない)。この場合もスポーツを止める必要はありません。中等症の場合

はスポーツの時間や強さを加減して、少なくともその時の痛みの程度が強くならない

か、できれば痛みが薄れていくように自分でコントロールするように指導します。現

在のクラブ活動の実態ではなかなか1人だけを特別扱いすることは難しいですが、ぜ

ひとも実行するべきだと思います。軽症の場合と同じように、入念な準備運動の後、

ストレッチングを十分に行います。注意することとして準備運動は上半身から始めて

、下半身もある程度温まってから、下半身のウォーミングアップに移るようにして下

さい。またストレッチングは痛みを感じない程度にして下さい。痛みを感じるほどや

るとかえって筋肉を痛めてしまい、逆効果になります。運動後の整理体操も、アイシ

ングも軽症の時と同じようにやって下さい。中等症の時に一番大切なことは、それ以

上悪くならないように運動量をコントロールすることです。オスグット・シュラッテ

ル病は特別な治療をしなくても成長がとまる頃には自然に治るものです。大切なこと

は、重症にならないようにコントロールすることです。

最後に重症の場合(スポーツ中痛くて思いきりプレーができない、終わった後痛み

がひどい、日常生活でも痛くて不便である)ですが、スポーツはある程度休む必要が

あると思います。最も重症になると本人も運動できないのである程度観念すると思い

ます。しかし重症の場合も特別な治療があるわけではありません。ふとももの筋肉に

無理な力がかからないようにするだけです。それにはスポーツを休んでみます。1〜

2週間で痛みがやわらげば、再びスポーツを始めて良いと思います。再開するときは

一気に運動量を上げず、徐々に増やしていくように心がけて下さい。準備運動に整理

運動、ストレッチングを入念にやって下さい。1〜2週間休んでもなかなか痛みが治

まらない場合は、スポーツを専門とする整形外科で相談した方がよいでしょう。

戻る