▼Q46.障害の最も多いところは何処か。練習方法との
因果関係はどうか。(レスリング)
A:@アマチュアレスリングにおける外傷の頻度で多いのは、打撲と捻挫である。こ
の2つで50%以上を占めている。特異的なものとして耳介の内出血がある。骨折は肋
骨や鎖骨などの上半身に多く、脱臼は手指の関節に多く、肩の脱臼も時としてみられ
る。気をつけなければならないのは、タックルやブリッジの際の頸椎の外傷である。
重大な事態を招かぬよう指導されたい。靭帯損傷は、足関節よりも膝関節に多い。こ
れはレスリングシューズの使用により足関節は保護されているからかもしれない。ま
た膝関節で腫脹を伴う時には、安易に考えず専門医の診断を受けて欲しい。
慢性障害で特に注意を喚起したいのは、腰椎分離症である。成長期のこの時期に強
いスポーツを長時間に渡って行うことで発生率は飛躍的に上がってしまう、単に軽視
することのないようにしてほしい。
A練習との関連では、格闘技であることを念頭におき、まずは基礎的体力の向上を計
り、その上でレスリング特有の基本動作の習熟に努めることが重要と考える。技の練
習においても特定の技ばかり練習させることのないよう注意されたい。(たとえばタ
ックルばかり、投げばかりというような)。
最後に指導者に望みたいことは、生徒は成長期であるということを忘れず、漫然と
長時間の練習を行うことなく、できるだけ短時間に効率よく行っていただきたいとい
うことです。このことだけでも外傷やスポーツ障害の発生頻度はかなりおさえること
ができると考えます。