スポーツ医学に関する質問

▼Q47.シューズの型・種類によっては、扁平足・腰痛を引き起

こすといわれています。そのようにならない為にも、生徒にとっ

て「良いシューズ」を選びたいものです。そこで整形外科的に

みて、良いシューズを選ぶためのポイントがあればご指導い

ただきたい。 (野球)

A:

○一般的な靴に求められる機能

1)足に良く適合すること。

2)足の運動機能を妨げないこと。

3)足に障害をもたらさずに、履き心地の良いこと。

4)安全で通気性が良く、衛生的であること。

○スポーツシューズに求められる機能

1)使用者の運動能力を100%発揮させること。

2)障害からのからだの保護。

○ランニングシューズに求められる機能のポイント

1)後足部のヒール安定性と衝撃吸収能力

踵部の衝撃吸収能は、ミッドソールの厚さと硬度で調整する。

素材が柔らかいもの+厚さが厚いものが良いのですが、あまり極端だと今度は

踵部の不安定性が増す、接地加速度が増すということになります。

最近は、EVAスポンジの、硬度70〜75度で厚さ2cm前後がよいようです。

2)ミッドソールウエッジ機能:接地からけりだしまで、スムーズに移動させる。

3)靴底のすべり

スポーツで異なりますし、土なのか、木なのかなど、接地面の材質で異なるすべ

り度が要求されます。場所にあった靴底が大切です。

4)重量

一般的には軽い方が有利。

○スポーツシューズの選択の大原則

1)そのスポーツ専用の靴をはくこと。

2)靴のすり減りに注意する。

5mm以上の踵のすり減った靴は使用しない。

3)靴下に注意すること。

踵とつま先を十分に保護し、足底のカーブに密着した、クッション性、汗の吸収

性、通気性の備わった、厚めの靴下をはくこと。

靴を選ぶときには、運動時に履く靴下をはいていくこと。

クッションパッドソックスといって、趾先、踵、足底部、足の甲をしっかり保護

するように、繊維の編み目を変えるようなきめ細かな靴下もでてきたようです。

シューズの選び方

1)自分の足の形を知る

足のサイズだけでなく、前足部の幅もみる。

一般的には日本人の足は、甲が高く幅が広い足です。

欧米人は、甲が低く細い足です。

扁平足や、外反母趾もあります。

それぞれ自分の足に合ったサイズ(縦横のサイズをチェックする)の靴を選ぶこ

とが大切です。

理想的には自分の足型をとって作ることでしょう。

2)購入する時間帯を考える

朝と夕方では 0.5〜 1cmぐらい大きさに差がでるので、足が大きくなる午後に買

った方がよいようです。

3)試し履き

フイット感をチェックする。

必ず両足をはいてみる。両足のサイズが違う方もいます。

足の甲:シューレースをきちんと結んで、チェックする。

緩みはないか、きつくはないか。

つま先:きちんと履いて、足の指が上下に動くかどうか。

先に1cmの余裕がある方がよい。

アーチ部(土踏まず)

アーチクッションが、自分の土踏まずとずれていないか。

踵部

かかとを浮かして、シューズが逃げないか。

4)片足で立ってみる

片足立ちをすると、足は30%程膨張するようです。

それにあわせて、フイットするぐらいでないとだめです。

5)シューズの返りを確かめる

かえりの位置は爪先から1/3あたりにある靴が良く、それ以外は失格です。

 

○障害を持った足には自分の体型の特長を知るべきです。

アラインメント異常があり症状がある人は、個人専用のシューズを処方した方がよ

いようです。ある程度対応した靴は各メーカーからでています。

たとえば

外反扁平足、シンスプリント、鵞足炎:ミッドソールの内側くさび形シューズ

ハイアーチ足:高低差の強いシューズ

外反母趾:前足部に余裕のあるシューズ

胼胝などでは除圧が必要です。

アキレス腱周囲炎では、かかとが高いシューズ

O脚では、外側楔状のシューズ

腰痛では、ふだんよりかかとがやや高いシューズ

一般的にはヒールはある程度あった方が、歩きやすいようです。

ただし踵の高さは、特に踵の面積が小さければ3cmの範囲に押さえて

ください。ヒールが高くても面積が大きければ、安定して歩きやすいようです。

それでも5cmを限度としてください。

などです。

底の柔らかいfully flexible sole の靴、たとえば足袋や草履は足の解放という点

では裸足と近く、良い履き物です。

しかし変形のある足への靴はまだまだ不十分です。専門的な医療が必要となります。

変形や痛みなど障害があるようなら、早めに市内の整形外科医を受診してください。

まず薬物治療や運動上の指導を受け、それでなおらなければ靴の中敷きや、変形予防

の種々の装具をつけることになります。

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