スポーツ医学に関する質問

Q67.インターバルや水分補給について。

Q68.暑い中、サッカーの大会や練習中に、脱水症状

を起こすことがないような指導はどうあるべきか。

A:高温下のスポーツ事故では熱中症が最も多く、指導者はその予防対策を講じる必

要がある。そのためには、次の3ポイントをクリアすることが基本となる。

@気温、湿度、風速など気象状況の把握

熱中症は気温が高いほど、また湿度が高くなるほど起こりやすい。高温下の激しい

運動は体温を上昇させる。脱水になると体温調整が利かなくなるため、体温上昇をさ

らに助長し、病的な高体温になりやすい。気温が30℃以上になると、死亡事故の発生

率が高くなる。全ての人は活動を停止すべきである。23〜28℃でも熱傷害の徴候に注

意しつつ、頻回の水飲み休憩をとるような配慮が必要である。

A環境温度に即応した水分の補給

アメリカン・フットボールでは、1965年すでに気温19〜22℃になればフィールドに

飲水を用意することが「強要」されていた。その頃のわが国はまだ養生訓の江戸時代

とそれに続く軍隊時代の影響か、渇きに耐えることも訓練という世界が残っており、

生水を飲むことが厳禁とされていた。当時は衛生上やむを得なかったろう。これは昔

の話と思っていたが、最近でも特訓中は「水分も取らずに頑張るのもトレーニング」

という根性論があると聞いて驚いたことがある。

高温環境下での運動には、発汗で失った分に見合う適切な水分補給は絶対に必要で

ある。とくに1時間以上継続する競技では冷たい飲料を頻繁に摂取することで、体温

上昇を防ぐようにするべきである。

その要点を纏めると次のようになる。

(a)冷たく、飲みやすいこと(8〜13℃、低濃度の糖分は吸収が速く胃にたまらな

い)

(b)試合開始前30分に400・位飲む。

(c)試合中は10〜15分間隔で 100〜 200・位飲む。

1時間以内の運動では水道水でもかまわないが、長時間の運動では発汗による喪

失分の塩分(電解質)とエネルギー源の補給の意味で、スポーツドリンクを勧め

るのもいいだろう。

B選手の体調を把握すること。

睡眠不足、発熱、疲労などで体調を崩した選手は高温下では要注意。頻回の下痢で

脱水状態にあるときも熱中症を起こしやすい。指導者は選手を観察し、起こしそうな

者には積極的に水分補給させるなどの配慮が必要である。

 

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