スポーツ医学に関する質問

Q82.「スランプとあがり」について

A:スランプは運動技能がある程度進歩した段階で、心身の機能が低下し、一定期間

向上がみられなかったり、かえって後退する状態である。

スランプに対しては、練習法の誤り、疲労、栄養障害、疾病罹患などの原因を探求

しその除去に努めるようにしなければならない。

あがりは成功と失敗に絡む予期不安から一過性の神経症類似状態に陥り、交感神経

系が緊張し、頻尿、心悸亢進(動悸)、口喝などの身体症状をもあらわし、運動技能

の混乱をきたすものである。その場におけるあがり対策としては、指導者の緊張を解

く言葉、深呼吸、お守りのほか、「尿とともに一切の悪いものが流れ出していく」と

いう暗示放尿などがある。スランプやあがりに対するこれらの対策とともに、平素か

ら精神状態を良好に保つことが有効である。選手が大会においてよいパーフォーマン

スを発揮するためには身体面のコンディショニング(体力や技術の向上の方策)のみ

でなく、精神面のコンディショニング(メンタルコンディショニング)が重要である

。コンディショニングの良否により(特に選手間の競技力が拮抗している場合には)

競技結果が左右されてしまうということは少なくないと思われる。しかしながら高度

な技術と体力を要求されるスポーツにおいて選手は強い身体的ストレスにさらされて

いるにもかかわらず、たとえ身体的コンディショニングの低下を感じても練習を休む

ことによる競技力の低下に対する不安から練習を継続してしまうといった事も往々に

してみうけられる様に思われる。

指導者はこれらの点に充分留意し、身体面のみならず精神面でのサポートをしてい

く事が望まれる。メンタルコンディショニングの技法には種々のものが知られている

。(1)シュプリュルの振子、(2)自律訓練法、(3)漸進的弛緩法、(4)バイ

オフィードバック法、(5)系統的脱感作法などがある。個々の訓練法については成

書を参照されたい。

 

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