tiiki iryou zyouhou netwark

         地域医療情報ネットワークの構築方法


●総論

○なぜネットが必要か??

1)開業医の地盤沈下

 現在の開業医の地盤沈下は、昭和50年代の、CTやMRIなどの医療の技術革

新についていけなかったために、おこったものと思われます。昭和40年代の医

師優遇税制と、国民皆保険制度の黄金のまどろみにひたっていて、50年代の病

院の技術革新に関心を払わなかった。時代に取り残されつつある。

2)医師会の硬直化と老齢化

 a)医師会の組織率が低下している。特に都市部で顕著である

 b)医師過剰で各地域で過当競争も始まっている

 c)会員の高齢化

 若い会員にとって医師会は魅力のないもののなりつつある。医療情報はネット

から直接取ったほうが早い。医師会よりも問題意識のある全国の仲間のほうが有

用である。

3)現在は第2の技術革新の時期

 検査等の進歩による技術革新は一段落し、現在の医療の変革は、主にインター

ネットを初めとする医療情報の伝達の技術革新が進行中です。医師会の組織とし

て、今からその流れに乗らなかったら、ますます、地盤沈下は顕著になると思わ

れます。現在、一連の医療改革、特に地域医療計画の再編が検討されています。

もしこれが実現すれば、病院の外来がなくなるわけです。開業医に患者が戻って

くると思われますが、手術の適応を、開業医の先生が的確にとらえて病院へ送る

必要があるわけです。受け皿がない可能性があります。患者さんの目も益々厳し

くなっていくでしょう。こういう時代ですので、病診連携が非常に重要になる。

かつ自己トレーニングの場が必要になります。そのためのコミュニケーションツ

ールがインターネットであろうと思います。また、このままの医師会でいけば、

社会情勢の変化についていけず、ますます、若手の医師会離れは進行し、医師会

は老人クラブと化し、形骸化が進み、ものの役に立たなくなるでしょう。医師会

の再生のためにも、また若手の取り込みのためにも、ネットで情報の伝達を早く

し、より魅力的な組織作りを目指さないと、21世紀には医師会は生き残れない

でしょう。

以上が現在の医師会のおかれた立場であり、老齢化と、時代の進歩に取り残され

つつある医師会の、新規のものに対する反応の鈍さ、危機感のなさ自体が構造的

な問題と思われる点です。組織の活性化がなされなければ、早晩、医師会は意味

がなくなる恐れがあると感じます。実際ネット上の若手の開業医の先生で元気な

先生ほど、医師会には批判的です。彼らを取り込めなければ、医師会は役に立た

なくなるでしょう。


●各論

1)地域医師会でネットを構築する目的はなにか。

 地域医療情報システムを構築して、地域医療の効率化を図り、医師にとっては

診療支援として。地域住民にとっては医療サービスを提供すること。

2)データ量はどうなるのか

 医療の特徴というのは地域密着型であること。したがって、広く見積もっても

地域医療計画圏内で、地域支援病院を核とした診療所グループ内で、医療情報は

発生し、かつ消費されると思われる。県医レベル以上はおそらく、事務連絡のみ

で、情報量は多くない。

3)日本医師会ネットmed.or.jp案の意味

県レベル以上の現在の案は、要するに医師会の事務連絡網を構築するという案に

ほかならない。med.or.jp というのはそれだけのことであろう。ip adressも共

有しない、ドメインのみをあわせたゆるい組織案だが、現在のところ、あるいは

将来とも、そう行き交うデータ量が急激に増大するとも思われず、現在の案で十

分と思われる。専用線を引く意義は薄い。

4)郡医師会レベルの取るべき態度

 地域内で真に医療に役立つネットを構築するためには、地域支援病院や、福祉

、歯科医、薬剤師、行政を巻き込んだ、ネットを作り上げることであり、特に地

域支援病院を巻き込めるかどうかが最大の鍵を握るであろう。開業医同士でデー

タのやりとりはあまりない。病院と開業医間が大部分と思われる。そのためには

日頃から医師会のみならず、病院の担当者を巻き込んだ、医療情報委員会を作り

、日常活動すべきであろう。会員のレベルアップも図る必要がある。

5)地域医療情報システム構築が最重要、かつ最優先。

従ってメインはあくまで地域であり、県医レベル以上はあまり問題ではない。発

生するデータ量がまったくレベルが異なる。med.or.jp問題にずっと違和感があ

ったのはそういうことであろう。要するに医療は地域密着型の産業である。域内

のシステム構築が最大の課題である。

 域内では画像を含めた、回線のスピードも問われる。そこでは初めてクローズ

の高速の専用線の使用の検討もセキュリテイも含め意義が出てくると思われる。

全国レベルの連絡網を構築すべきなのは当然だが意味も重要度が異る。

6)県医レベルのサーバがない場合の地域医療情報システムの構築

県医師会のサーバに郡市レベルのディレクトリとドメイン名を持つということ

安上がりで効率的な案です。それなりにコンテンツをうまくすれば使えると思

います。しかし県医レベルに間借りするというのは、主客転倒であり本来は、お

かしいといわざるをえない。無論技術レベルとか、お金の問題とかいろいろある

だろうが、ただ概念としては、郡市レベルでは、県医レベル以上のような単なる

ホームページを作るのが目的ではなく、あくまで地域医療情報システムを組むの

が最大の目的でなければならない。ボトムアップはあってもトップダウンはあり

えない話である。あらゆる機会を捉えて地域レベルのシステム構築のための予算

を分捕るのが本筋である。郡市レベルでこそサーバを置く意義が

あると考えなければいけない。

県医への間借り案はその意味で、医療情報システムの目的を見失っていく可能性

がある。もちろん形がどうあれ、役立つようにできるか、役立たないかは内容で

決まっていくだろうが。

 なお県医にサーバが立ち上がらず、郡市が先なら(第4レベルのドメイン名が

なく、第5レベルのものが先に欲しい)ときはサーバ内に両方ドメイン名をバー

チャルドメインでもてばよい。

aomori.med.or.jpがなく hatinohe.aomori.med.or.jpのみなら、hatinohe内に

aomori.med.or.jpディレクトリをおくのみでよい。


●具体的な手順

地域医療情報ネットワークの形成

 日本のインターネット人口は1500万人を越しましたが、残念ながら、現在の医

師の現状では、まだまだ普及には時間がかかると思われます。各地で先進的な先

生方が核となって普及にとめるほかはないようです。ホームページ作りを先にす

るとそれで終わってしまう可能性が高い。


○インターネットを活用した医師会活性化

初心・動機を尊重する

 まず、情報発信による医師会活性化を行う上では、何よりも動機が大切である。

その初心・動機・情熱を尊重し、それを拠り所として進めていくことが重要とな

る。動機の確認なくして、いくら立派なコンセプトを練ったところで、内発的な

活動を持続していくことは難しい。

まず立ち上げよ

 動機があるのならば、まずは立ち上げとなる。立ち上げ時期での障壁として

は、インターネット関連の知識・技術の不足、発信情報の収集方法・体制、予算

についての問題が多くあげられる。しかし、いずれについても早期に立ち上げ、

運営するなかで習得・検討することが望ましい。

1)費用

 立ち上げ時の費用は今回調査対象としたケース毎で大きく異なるが、既存のコ

ンピュータをプロバイダーに繋ぐだけであれば数万円、機器等を購入するのであ

れば100〜200万円程度で可能である。また、医師会等では、関連予算を上手に

活用するといったケースもある。いずれにせよ情報化の進展による通信費用等

の低下から、比較的安価に事業を開始することができ、費用的な障壁はそれほ

ど高いものではない。

○必要となる費用

独自ドメインを取得して常時接続型のサーバーを購入・設置する。

144〜3800万円

インターネット・サービス・プロバイダーのPPP接続を利用して運営。作成・編集に

必要な機器を購入する。

100〜300万円

インターネット・サービス・プロバイダーのPPP接続を利用して運営。既存の機器

を利用する(PPP接続に必要な機器のみ購入)。

2〜15万円

<アンケートから>

* 約3800万円(独自ネット費用含む。県単独事業。)。

* 約15万円(自己負担)。

* システム開発経費の一部としてたちあげたものであり、金額は積算不能。

* 約2万円。

* 144万円(補正予算。賃借料及び使用料、専用線及びルーター使用料56万円、

工事請負費、ケーブル配線23万円、備品購入費、コンピュータ一式65万円)。

* 約1,200万円(ただし、今後の運用のための設備費(800万円)を一括費用として

含んでいます。)。

* 約300万円。

* 約2〜3万円。

* 約100万円。

<オンラインミーティングから>

* フレッシュな情報発信、できればインターネット以外の媒体も使った複合的な発信

をしていけば、草の根ネットワークは確実にのびていくと確信を持っています(後略)。

2)知識・技術

 自らネットワークのシステム管理者となるのでなければ(プロバイダーにサービス

を受けるのであれば)、特に高度な技術は必要としない。今回のアンケート等において

も、専門知識・技術よりは、「見やすい表現」「親しみやすい工夫」といった表現形

式(必ずしも「奇麗な」、「美しい」ということではない点はポイントである)、あるいは、

使用するメディアの特性の把握と有効な活用などの経験的ノウハウのウェイトが大き

い。他の事例を参考としたり、プロバイダーや近辺の人間に知恵をかりることもできる

が、基本的にこれらの経験的ノウハウは個別ケースによって異なるため、運営しながら

検討・習得していくことが望ましい。

3)双方向性・コンテンツ

 ただ漫然とコンテンツを発信するだけではインターネット上の情報発信としては物

足りない。双方向性はインターネットのコミュニケーションの最大の特徴の一つであり、

マスメディア型の単一方向のコミュニケーションと明確に異なる点である。レスポンス

にかける労力を惜しむのではなく、コミュニケーションをとることで利用者が何を求め

ているのかをより正確に把握してコンテンツに反映するなど、双方向性を効果的に利

用していくことが求められる。


各段階における克服のポイント

各段階における解決のポイント

構想段階

立ち上げ段階の動機(=なぜ情報発信したいのか)を基本理念として確認する

ことが最も重要であり、その際に掲げたビジョン(=こうしたい)を軸として進

めていく。最初の動機が明確でなければ、その後も継続していくことは難しい。

立ち上げ段階

次に、やると決めたらすばやく立ち上げることが求められる。かつての情報シ

ステムと異なり、スペックはどうあれ、かなり安価に“とりあえず動く”環境を

構築することができる。現状で最もボトルネックが懸念されるのはノウハウであ

り、これは机上での検討では限界がある。また、立ち上げ時には有効な参考事例

も、ケース毎に状況は異なるため、常に応用が必要となる。そのため“走りなが

ら考える”スタンスもここでは重要となる。

運用・運営段階

情報発信は、その量よりも質(鮮度、内容)が命である。多くの情報を垂れ流

すのもよいが、継続・更新することが大切。運営においては、この点に重点をお

いた体制作りやコンテンツ構成を工夫する(ex. 運営業務の効率的分散化を図る

、広く一般からの参加を誘導する、コミュニケーション・チャンネルを強化して

多角的な情報を収集する)。

ゴール設定

各段階にて直面する課題を随時克服することは、それだけで労力の必要なこと

ではあるが、事業が単なる自己満足に終わるのではなく、一般から広く受け入れ

られ、且つ意味のある物としていくためには、地域/地元/ユーザー等(利用者

、読者)への“貢献”という点も視野にいれておく必要がある。

 今回の13事例、また、その他の各地の現状を見る限り、地域における情報発信

等の活動は非常に献身的な性格を有している。情報に対する価値は一般的に高価

なものとはとらえられておらず、情報発信等の事業においても、それ自体でコス

トを回収することは困難な側面がある。しかし、よくいわれるように『情報は資

本ではなく資源』である。情報そのものに価値を見出すよりも、それを通してど

うするのか(ex. 様々な人的交流の輪を広げる→各種事業の円滑化、ニーズの把

握)など、周辺に及ぶ効果に価値を見出していくことが求められるようになるだ

ろう。しかし、こと医師会の情報発信においては、“広報”あるいは“情報公開”の

ような視点が根底にあり、義務的な側面も強く、モチベーションもなかなか保持

し難い。業務内での有効な方向性(ex. コミュニケーションの活性化→業務効率

の向上、マンツーマンでの市民との対話→サービスの向上)を見出し、それをモ

チベーションとして想定していくことがすすめられる。

 また、いかに横断的な進め方ができるかも重要である。情報発信は集積(一覧

性、データの所在は分散でも構わないが受信側からは一個所でアクセスできるこ

と)が必要であり、むしろ共時性が重要となる。つまり縦割り型ではなく、横断

的な視点での情報発信が求められる。組織(横断的組織の形成、特定組織への負

荷集中を避けて分散化)や予算の執行(共有できる部分は統合的に考える)など

においても、より効果的な進め方を柔軟に考えていくことが大切である。

参考文献

地域情報ライブラリーについ

ここの自治体を医師会に変えただけ。よくまとまっています。


構築の実際

1)まず核となる先生がいること

2)医師会内に情報処理委員会を作ること。

 医師会のPC関係はすべてここで取り扱うようにする。

 5-10人程度とし、なるべくPCを扱う先生を集める。ここを核とする

3)普及させる(委員会主催)

 講習会の定期的開催をする。これも医師会のみならずできるだけ広く集める

 高校(導入しているところが多い)やNTTを利用する。

 できるだけ連続して行うこと。地域の業者を鍛えて、セットでそのまま使える

 ように組み、あわせて紹介する。

4)メーリングリスト(ML)の形成

  まずは毎日話し合う場を作る。仲間を増やすのに大切。また参加メンバーは

 、極力医師会員に限らず、間口を広くして三師会や、医療従事者を入れる。

 特に病院の勤務医の先生方を入れるのが大切。これは参加者が少ないところで

 は特に大切。ここのメンバーが中核となるのでメール教育から十分に行う。

5)地域医療情報ネットワークの立ち上げ

 MLでコンセンサスを得てから、おもむろに地域医療情報ネットワークの構想

 を練る。1-2年でここまでくれば上等。

 狭い意味のホームページはいつでもできるので、むしろ問題は、人のネットワ

 ークをいかに形成するかが最大の問題であろう。病院の先生が入ってくれれば

 病診連携はメーリングリストのみですぐできることになる。

 大切なのは地域の医療関係者をまとめ上げることが大切で、あとのことは自然

 についてくると思う。サーバを持つかどうかはどういう内容をいれるかという

 問題に過ぎない。つまり内容が先で、こういうデザインにしたら、結果的にサ

 ーバにしたほうが良いから、導入するという考え方。

6)ネットワークの構築

 医師会各委員会のニーズを取り上げ、それを順次デジタル化していく作業であ

る。従って、たとえば健診委員会のメンバーからニーズを聞き、それをどうネッ

トに組み込むかという問題である。本格的な情報処理委員会は、本来は、医師会

内の各委員会から代表を出してもらい、各委員会の要求を調整するための場でな

ければならない。無から有は生まれない。医師会の日常活動を旨く吸い上げられ

なければ、有用なシステムは構築できないと思われる。また、医師会事業をどれ

だけ旨く組織内に取り込めるか、もっと大切なのは、地域の中核病院をどれだけ

取り込めるかで有用性は決まる。

7)予算

 医師会にはお金がないのが一般的だから、医師会事業を取り込んで、そこから

お金を出してもらったり、医師会システムでなく地域医療情報システムを構築す

るのが目的であるから、歯科医、薬剤師や医療関係者を広く集めるとともに、市

にも働きかけて、福祉を取り込むのが本道。ついでに市民サービスを前面に出し

、予算化も働きかける。また予算化するときから壊すときの事を考える。端末等

は陳腐化しやすいので、できるだけ小量づつ買うこと。大量に買ったほうがコス

トは安いが、バージョンアップ時も一気になることを忘れずに。次回更新時が高

くつく。


●まとめ

医師会でPCを導入するために

1)組織化:受け皿作り。MLの作成。ついで委員会の形成

2)計画:計画書を作る。デザイン

3)選定:計画書をもとに複数の業者に見積もりを取る

4)決定:

5)維持:修理、バージョンアップ、メンテナンス、会員の継続的な教育。

6)次期計画策定:導入時に次の事を考える。

の順番ですね

1)組織化

 医療情報委員会を作る。

 目的は計画の作成と人材養成。受け皿作りですね。

 医師会内に核となる人間を養成していく目的もある

 必要な部門の責任者は必ず作る。検査を入れるなら検査技師を入れ

 詳しいのを養成していく。教育を兼ねる。

例 八戸市医療情報システムHKN委員会

これはメンバーは20人前後、大学の工学部の先生、NTT、富士通、医師など

ここでの合議制です。私は基本コンセプトを立案、富士通と擦りあわせ、ここで

の了解を得るだけです。ただ市が入るので、あとは市との折衝です。これは理事

の先生がなさいます。私はタッチしていません。重要な会議には会長も入ってい

ただきます。必要なら検査技師長、歯科医師、薬剤師も入ります。議長の裁量で

す。委員長は市立病院の先生です。

検査配信システムをメインとし、そこに掲示板、faxとメーリングリスト

データベースをたちあげる。データベースはオラクルでエクセルで設計、

入力、検索できるようにする。看護婦さんがDBを設計できるように。

病院や地域病院間で郡部の脳外科で始まっている脳外科画像コンサルト

ネットなども取り込もうと思います。

2)計画

 グランドデザインを討論しながら、策定していく。業者を毎回呼んで

 講義を受けながらでも良いですが。スタッフの訓練も兼ねる

 できるだけ詳細な仕様要求書を作る。仕様要求書は細かく書けばきりがない

 ですが。

3)見積もりを取る

 仕様要求書をだして、各業者から見積もりを取る。

 業者を委員会に読んで説明させる。

4)決定

 医師会に提出裁決をうる。当然根回しは十分にすべきです

5)維持

 これも委員会の重要な仕事。継続的なトレーニングの場を作る

 NTTや、高校大学などのOA用の部屋を積極的に借りる

 成功するかしないかは底辺拡大にかかっている。

 会員の苦情には委員会で対処する。業者に対応させてはいけない

6)次期計画の策定

 これが最も大切。作るときから次の計画を頭に入れる。端末を一気にまとめて

 かえば、5年後にはまた一気に買わなくてはいけない。5台ぐらいづつすこし

 づつそろえる。安さに目を奪われない。

○パソコンの特徴

1)パソコンは金食い虫です。便利さを追求すれば、際限なくお金はかかる

 しかしお金をかけないと便利なシステムはできない。

 会員にレベルとあわせながらバージョンアップをはかる。

2)使いこなすのはトレーニングが必要

 会員は低レベルである。核となる人間と底辺の教育が最重要かと思われます

HMF

 これは医師会とは関係なく、ある先生の音頭でまとまりました。

 元々あった、HMNという医師会実験局のパソ通の発展型です。

 これは市内のパソコン好きの歯科医さんと医師と薬剤師のあつまりです。

 独立採算ですべて手作りです。会費ですべてまかないます。年に6万ぐらい

 10人前後のポケットマネーでUNIXマシンのリース購入です。


○予算の捻出法

1)市を引き入れる

 市民の健康相談や感染症情報、病院情報、福祉情報、福祉課の部屋も作る

高齢者対策及び市民サービスを強調し、市を巻き込み、予算をもらう

市会議員を巻き込んで、市議会で質問もさせる。

2)他の医師会事業の取り込み

 医師会にはお金がないんで、幸いこちらは医師会立検査センターの顧客獲得の

 ためという名目です。医師会立病院があればそれを巻き込む

 なんでもよいのです。できるだけ横断的なものをとりいれる

○病院の取り込み

 市立病院の脳外科と他医院間のコンサルトシステムなんてかなりの需要ですね

 画像掲示板ひとつで良い。電子メールのみでも良い

 図書室にパソコン一つ置いてもらいダイアルアップでも良い。

○3年計画

 300万かけてホームページひとつだとかなりの批判は出ます。

 要は地域医療ネットワークに発展させるんだというコンセンサス

 作りが大切です。それにできるだけ多くの医師を意思決定に参加させ

 必要性を周知徹底し、教育し、システムを作り上げなくていはいけない

 わけです。300万かけて役に立たないと、次の導入は事実上不可能に

 近くなります。とにかく使えそうなのは全部盛り込む。仲間を増やし

 それを計画に盛り込み、3年計画ぐらいにして、予算化する。

 組織化と予算化するまで今年をかければ良いでしょう。それでコンセン

 サスをうる。とにかく医療情報委員会を作り、業者を呼んで勉強会ですね

 会員のための勉強会もついでにその業者に頼んで頻回に開く。

 その間にできるだけ多くの所をまきこみ、市と交渉し安く上げれば良いわ

 けです。

 まずは医師会の将来像を書き、インターネットの必要性を説き、地域医療

情報システムの必要性を説き、準備のための医療情報委員会設立を提案する。

年度内に基本計画をつくり、次年度から、3年計画で実現するようにする。

来年はサーバとメーリングリスト、次年度は、なになにということです

今年は病院を巻き込み仲間作り。NTTとか、パソコン屋さんなどを参加さ

せる、小回りの利く委員会の作成でしょうね。必ず有能な方がでてきます。

8月ぐらいまでにまとめて9月から2カ月かけて業者選定12月には予算案を

医師会に提出でいかがでしょうか。


○具体的な仕様要求書

総論

第一次医療情報システムの限界

1)現在のシステムは徐々に廃止する。最低限の故障修理以外は対応しない。

2)新規システムを作成する

  サーバのみとする。端末は各自の自前のPc(WIN、MAC)とする

  次回のバージョンアップを十分に考えた案とする。作るときに次回壊す(バ

ージョンアップ)ことを考慮に入れる。

3)旧システムから新システムへの移行は2000年に終了する

  旧システム使用者には教育プログラムを組む

4)費用

4-1)システム更新

 サーバは使用量の問題でしょうが、5年−10年ぐらいで更新が望ましいかと

考えています。

  概算ではサーバのみなら300万。データベースが入れば500万。検査配

 信がはいれば800万前後である。

4−2)端末について

  推奨標準端末はノートパソコンで準備はするが、オプションとする。

 1)機種選定

  インターネットにしたのは機種依存をなくすためです

  従って、パソコンを同一のものにする必要はありません

 2)現在のところ、端末費用は考えていません。

 理由

  1)機種依存をなくしたことにより各医院の既存のPCの有効利用

  2)予算の問題

  3)検査配信機能はHKN全部のなかの一部の機能にしか過ぎない

 「検査配信システムは、検査センターの顧客獲得のための方策である」という

なら

1)最も安いラップトップの端末を準備する

 検査センターに予算があるならという前提。

2)病院のランク付けと端末の更新問題

 理想的には3年ぐらいかけて、徐々に配る

 解決案としては、使用量が多いところから配布する。

 案として、医院を使用度によりランクづけを行う

 たとえばランクA:50万/月以上。B:20万以上。C:20万未満

 初年度はAランクのみ配布。次年度はAランクに配布。前年度のはB

 ランクに配布する。常にAランクには最新型のがいくようにする。

 Cランクで使い物にならなくなったら、徐々に更新していく。

 2000年問題もあり、1999年いっぱいで配置する必要はある。

 ハードの陳腐化が早いので、できるだけ購入時期をずらしたい。

 そうすれば次回のバージョンアップが楽になる。

 古いパソコンを一気に全部捨てるはめになるのは避けたい。

 しかし、システム導入が1999年なら、2000年問題と絡み、一気更新

 とならざるをえない。これは避けたい事態である。既存機種の有効利用と、

 数カ月でもずらすことによる、機種の差別化ぐらいしかできないだろう。

 いずれにしても予算があるなら検討しても良いだろうが。なければ無理な話

 であろう。

 5)使用プログラムは最小限とする。

 データベース標準入出力はブラウザ(IEとNE)とEXCELとする。

 あとは必要プログラムはNOTEPADなどの適当なエディタ。

 日本語フロントエンドプロセッサは各自の好みである。

6)回線

 TCP/IPプロトコルにのっとりインターネットを使用する

 ダイアルアップモデムは38.4Kbps、INS64

 専用線:ocnエコノミー

どれでも可である。

7)地域医療ネットワークの構築

  遠隔医療が認められた現在、これから、病院同士の連携が重要視される。

  地域中核病院との連携。医師会のみならず歯科医、薬剤師、福祉施設等と

 の連携が最重要課題となる。介護保険も始まった。


○セキュリテイの問題

システムでは

 1)ファイアウォールの設定

 2)パスワードで管理

で問題ないと思われます

 ネット上のセキュリテイの問題はむしろ運用面の問題と思われます。

 データ管理する方は絞るべきです。パスワードが医院内で皆に目の触れると

 ころにあるのはまずい。パスワードは院内で1人のみが承知するのか。その方

 が休んだらどうするのか。パスワードを承知している方がやめた場合パスワー

 ドを変更するのか。そこまで厳密にするほどのデータがあるのかどうか

 という実際の運用面の問題と理解すべきです。従ってエンドユーザたる医院自

 身のパスワード管理にはご配慮願います

データ保護

 1)無停電電源装置

 2)サーバートラブル

  リモートアクセスでかなりなところまで回復できます

  深夜なら、朝で対処可と思われます

 3)ミラーリング

  ハードディスクでバックアップは定期的に取ります。

 以上により対処します。


○地域イントラネットのインフラ整備に対する施策の類型

1)民間事業者ISPと契約

 インフラ整備には医師会は関与せず、民間事業者による事業展開に期待する。

 メニューが乏しい、機能が制約される等の状況が生じる。

2)ISP事業参入(基本サービス)

 自治体、医師会または第三セクター等の関連団体がISP事業を行う。事業内容

としては接続サービスや基本的なサービスレベルに限定して利用のボトムアップ

を狙う。 地域内全てで同時にサービスを提供できる。

3)ISP事業参入(高度サービス)

 自治体、医師会または第三セクター等の関連団体がISP事業を行う。事業内容と

しては付加サービスや高いサービスレベルも含め、先進的な利用も支援する。地

域内全て同時にサービスを提供できる。

先進的なサービスに対する需要も満足させることが出来るので、時間的格差の解

消にも有効である。

4)バックボーン整備

 地域内のバックボーンを整備し、ISPに開放することによって、地域内の格

差解消を狙う。方法によっては地域内の通信品質を改善することが出来る。

地域内のサービス・品質格差を緩和できる。

ISPの事業展開の大きな制約である通信距離によるコストを軽減できる。

都道府県レベルの大きさで、地域ISPの事業展開が進んでいる場合は有効であ

る。

5)地域IX整備

 地域IXを設置し、地域における通信環境を改善する。地域内の通信が最適化さ

れる。地域ISPの情報交換の場として発展する場合もある。 トラフィックの面でも東京

に集中している現状では、特に全国型ISPにとって利用するメリットが少ない。

ただし全国にいくつもの地域IXを作るのは現状では難しい。

いずれの施策によっても、インフラに関わる全ての格差が解消されるわけではな

いことに注意が必要である。また、生じ得るメリット及びデメリットについても

それぞれの地域のおかれた環境によって変る。

これらの類型化された施策の他に様々なバリエーションも可能である。例えば、

医師会としてインフラ整備に関与する場合でも、整備したインフラをどのような

対象に開放するかによってその影響は変わってくる。

残された課題

最後に、地域でのインターネット活用を進める上で、地域だけでは解決できない

課題について言及する。

まず、全国的なネットワーク・トポロジーに起因する問題である。我が国のイン

ターネットは、東京及び大阪のIXを中心としたネットワークになっている。これ

は現実のトラフィックが東京に集中していることにも対応しているため、民間IS

Pの立場からは必ずしも問題ではないが、それ以外の地域の通信環境を改善しよ

うとする立場からは理想的ではない。加えて、ネットワークの安全保障の面から

も望ましくない。全国的なルーティングはどのようなものが望ましいのかを考え

ていく必要がある。

また、地域イントラネットを活用していくためには、インターネット利用者をい

かに増やしていくかという問題が存在する。今回の調査の中でも、インターネッ

トの利用者が少ないために現状医師会として事業を推進すべきかを問題意識とし

て有している、との声が聞かれた。郵政省においても、高齢者や身障者などに対

するコンピュータ機器の利用増加を推進する施策を展開しているが、幅広い人達

に受け入れられるようなインターネット利用環境を整備していくことが必要であ

る。さらに、ネットワークを利用した医師や画像情報、個人情報の保護の取り扱

いに関連した法制度や技術の整備を進めていく必要がある。


○ネットでカバーする範囲は広ければ広い程よい

1)できれば市内でなく、2次医療圏すべてで組みたい

  ネットという性格上参加する人間が多いほど有用である。本来医療とは、地

 域内すべての患者の移動をフォローできるようにならないと有用性が落ちると

 思われる。具体的には医療や福祉、薬剤、歯科、病院、診療所、役所等すべて

 医療に関わる部門で連絡網を組むべきであろう。一部門でも落ちると、有用性

 はかなり落ちると思われる。また当然そういう性格である以上、広域であるほ

 うが有用性や利用度が上がるのは当然であろう。また、個別にするより、まと

 まればまとまるほど、有用性は上がると思われる。

 積極的に市内にこだわらず、会員を勧誘すべきと考える。

 2)コスト的には変わらない。

 狭い市町村単位で組んでも、広域で組んでも、サーバのみなので、単価は変わ

 らない。必要メモリがすこし増えるだけ。メモリが足りなくなるくらい利用し

 てくれるかどうかは不明だが。

3)セキュリテイ

 根幹システムの患者情報は、パスワードを組むことでセキュリテイは確保でき

 る。各レベルでアクセスは制限できる


○利用度をあげるために

1)教育

 利用する方すべての教育。医師のみならず従業員の「継続的な」教育

 ハードに関しても考慮する必要あり。DOS/Vマシンとマック両方

 ソフトは絞ってあるので、問題ない。業者によるフォローも用意する。

 今後はデジカメ、メールと画像、エクセルの扱いも教育する必要あり。

育成すべき人材としては、地域イントラネットの運用と活用を主導する「リーダ

ー型」の人材と、活用する「ユーザー型」の人材の二通りがある。

人材の育成には時間がかかるため、早急な着手が必要な事項と言える。

2)横並びではない事業展開

医師会が事業展開を進める際に、万人に等しいサービスを提供することを第一義

におくと、効果に限界が生じる。

サービスに対する需要やニーズには、地域の中でも温度差があるのが普通である

。このような状況下で公平性を念頭にした均一な支援やサービスを行った場合、

先進的高需要グループには不足、後進的・低需要グループにはオーバースペッ

クとなってしまう。

先進的高需要グループに十分なサービスや支援がなされないと、前述のように

「時間的格差」を生じさせることにつながる。一方で、後進的低需要グループ

にオーバースペックなサービスや支援を行った場合、それらのグループの需要が

顕在化してきた際にはすでに設備やサービスが時代遅れになっている可能性もあ

る。このようなグループに対しては、需要が顕在化した時点でサービスや支援を

行うのが適切な解であろう。

)利用形態まである程度規定しないと使ってもらえない

 HKNシステムは検査配信システムと、患者情報データベース、病診連携、

 診診連携システムであり、検査配信がメインというわけではない。しかし

 端末が一台でこれをすべてこなすのは実際の所かなりきついと予想する。

 具体的な使い方を想定すると

 1)朝一番で検査を読み出し印刷する。これは事務員か看護婦

  必要技術;ブラウザ、エクセル。

 2)コンサルト(病診連携)これは医師

  開業医(病院)から病院へのデジタルカメラ等で取ったレントゲンをメー

 ルもしくは画像掲示板にアップし、電話でコンサルトする。

 いずれにしても画像が入らないと有用度は落ちる。

 例;南部草の根ネット

 必要技術

  デジカメ、画像処理、メール添付、画像掲示板の扱い

  将来的にはFCRやDICOM規格の画像のアップ(スピードの問題あり)

 3)患者教育

  ホームページ作成技術を使ったプレゼン

  検査データの時系列分析

 4)事務連絡:電子メールとファックスの併用

  日医や県医のデータは各ホームページから直接取れる

  市レベルの話は電子メールかBBS、もしくはfaxで落とせる

  もちろん電子メールへ書けばfaxへも同時に流せる。

  PCがないところはFAX網の整備必要。

 5)相互交流

  現在のメーリングリスト的な使い方。人数が増えればテーマ別にわければ

  よい。

 いずれにしても、一台でこれだけの仕事をこなすのはおそらく無理。

 回線はできるだけ早いのを一本で、複数台のPCをつなぐべき。いわゆる

 LANを組むのがベストであろう。

将来的には

 6)患者情報のデータベース化

  薬、その他の患者基本情報のアップも検討必要。電子健康保険証も数年以

  内に導入される。健診センター情報の利用も検討する。

  あらゆるデータを吸い上げることを検討する。

 7)介護保険での利用

  寝たきり患者のデータの集積

 8)情報処理委員会の組織替え:組織の整合性を高める

  医師会の各委員会から代表を出してもらい、デジタル化すべき項目をつめて

  いく。各委員会別の部屋を作ることも可能であろう。医師会活動は電子会議

  に移行できる。時間と労力の軽減。

  ネットワークの構築は、具体的には 医師会各委員会のニーズを取り上げ、

  それを順次デジタル化していく作業である。従って、たとえば健診委員会の

  メンバーからニーズを聞き、それをどうネットに組み込むかという問題であ

  る。本格的な情報処理委員会は、本来は、医師会内の各委員会から代表を出

  してもらい、各委員会の要求を調整するための場でなければならない。無か

  ら有は生まれない。医師会の日常活動を旨く吸い上げられなければ、有用な

  システムは構築できないと思われる。同じく機能が増えるたびに、当該部門

  のスタッフを組み入れるべきであろう。

  これを機会に医師会事業すべての、各委員会の代表者を集めた、情報処理委

  員会に組み替えをすべきと考える。PC関係は一つにまとめる。各委員会の

  利害の調整は必要。

  一委員会一ホームページが最終目標

 9)法律や規制のデータベース化

  各通達はすべて初めからデータベース化する。


まとめ

実際の設計書

  開業医のみでは、LANまで組んでまで行うのは一部の医師にかぎられるだ

 ろう。従って当面の利用は、残念ながら検査配信機能に限定されると思われる

 。本来はデータ配信機能はHKNの機能のホンの一部であり、有効に機能を活

 用してもらうためには、検査配信以外の機能の充実を図る必要がある。

1)病診連携の重視

  病院をできるだけ巻き込んで、病診連携のシステムを組むのが重要と考える。

2)データベースの充実を図る

  Up to dateな保険情報。患者情報。

3)医師会活動の吸い上げ

  またあらゆる医師会活動のデータを旨く取り込めれば取り込めるほど、有用

 性は上がり、当然のごとく利用率は上がる。up to dateのデータの蓄積がすべ

 てと考える。有用なデータがなければ誰もアクセスしない。

4)福祉情報ネットワークの構築

5)地域災害情報ネットワークの構築


●参考文献

med.or.jp

医師会サーバの意義1

医師会サーバ意義2

医師会のmed.or.jp案

NTTのOCNを利用する方法を例として示してあります。

しかし、これ以外の業者の利用も可能と思われます

意義について

第一回広域医療情報研究会

この会はmailing list『himedaruma』を中心とした有志のメンバーによって開催されたものです。

第二回広域医療情報研究会

医療情報ネットワーク相互接続プロジェクト

その他

岐阜市医師会イントラネット

交野市医師会

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地域情報化を考える

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地域インターネット 相互接続に関する調査研究報告書

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